新薬開発のプロセスと日本の医薬品の質の高さ

治験とは、新しい薬の臨床試験のことをいいます。新薬の開発は、薬に使うための物質を探したり、化合物を生成したりという基礎研究から始まり、これに2年~3年かかります。その後、新薬候補となる物質がどのように身体に影響を及ぼすのかを調べるため、動物や人工的な細胞などを用いた前臨床試験が行われます。これには3年~5年の時間が必要で、新薬として作用に期待できると判断された場合のみ、人の治験が行われます。治験の臨床試験には3年~7年を要し、ここをクリアすれば、承認申請と審査に1年~2年かかります。よって新薬の開発には、9年~17年もの年月と開発労力がかかるのです。

治験は通常、3回のステップで実施されます。健康的な成人、次に少人数の患者、大人数の患者にわけて行われ、人が使用した際の安全性や効果を調べます。臨床試験を行う際は、厳格な国際的基準(GCP)や薬事法を守ったうえで、3年~7年という長い時間をかけて実施されます。この入念な治験の結果、そして国の定める基準をクリアすることで、はじめて新薬として承認されるのです。

こうしたプロセスを知ることで、身の回りにある医薬品の安全性の高さが窺えるのではないでしょうか。実際、日本の医療は世界トップクラスのレベルを誇っており、その裏には製薬会社と治験業者のたゆまぬ努力があります。また、薬が市場に出たあとも、安全性を継続的に監視する体制が整っています。もし予期せぬ副作用が報告された場合、迅速に情報を集め、必要であれば使用を中止したり、添付文書を改訂したりする措置が取られます。この開発から製造、そして使用後の監視に至るまで、徹底して質の維持に努めていることが、日本の医薬品への高い信頼につながっているのです。